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令和元年度 第1回 循環生理分野勉強会報告

【日 時】2019年5月16日(木曜日) 18:45~20:45

【場 所】遠山病院 4階 講堂

【テーマ】「初級:新人向け、見逃してはいけない、不整脈のみかた

【参加者】36名

【講師】 第一部:浅沼 里依子 技師  伊勢赤十字病院

第二部:藏城 寛子  技師  桑名市総合医療センター

【内容】

第一部は、見逃してはいけない、上室不整脈のみかたのタイトルで、 P波の成り立ちの基礎から異常P波のみかた。変行伝導など種々の心房期外収縮の機序とみかた。脚ブロックや完全房室ブロックなど、いろんなパターンの心房細動。上室性頻拍のみかたと、心房粗動の見分け方。房室解離と房室ブロックの違いなど多岐にわたり講演していただきました。

第二部は、見逃してはいけない、心室不整脈のみかたとのタイトルで、心電図の基礎から、各脚ブロックの成り立ちと心電図波形について。左室肥大、右室肥大のみかた。心室期外収縮の分類から発生起源のみかた、心室頻拍と変行伝導を伴った上室性頻拍との鑑別の仕方。その他、Tdp、AIVR、Parasystole、Pseud VT、VT様アーチファクト、補充収縮など、多岐にわたり講演していただきました。

発表後、どちらの講師にも質問が殺到し、活発な勉強会であった。

 

報告者作成者:臨床生理部門副部門長(循環生理分野)

辻井正人

【 日 時 】 令和元年8月09日(金) 18:30~20:30

【 場 所 】 三重大学医学部付属病院 病院棟12F 三医会ホール

【 参加者 】 12名

【 講 師 】 伊勢赤十字病院   中村小織 技師

桑名総合医療センター 矢橋知子 技師

鈴鹿回生病院    広瀬逸子 技師

【内 容 】

ATL LGL サイトメガロ感染の3症例を症例検討した。

検査データや血液像、マーカーなどから推測し追加検査を提案、診断に至るまでの

過程を解説していただいた。臨床検査技師は検査データや形態を最初に見ることになるため、必要に応じて臨床にコメントできるようになると良いと思われた。

報告者:臨床血液部門 部門長 広瀬逸子

 

【開催日】令和1年8月22日(木)19:00~20:30

【会 場】遠山病院 4階 講堂

【参加者】16 名

【 内 容 】上肢NCS(基礎から応用まで)

三重県立総合医療センター  伊藤 美紀 技師

今回の勉強会は上肢末梢神経の解剖学的な構造から実際の伝導検査の手技や応用など、幅広く充実した内容の講義となりました。人の神経は大脳や脊髄などの中枢神経と脳神経(12対)や脊髄神経(31対)の末梢神経とに大別されます。伝導検査で主に用いられる上肢の末梢神経は、正中神経、尺骨神経、橈骨神経です。これらの末梢神経には運動神経と感覚神経があり、検査する神経の種類によって測定原理や手技も異なってきます。運動神経の検査は、電気刺激により導出筋で誘発された複合筋活動電位(CMAP)を記録し、波形の振幅や形、伝導速度を計測して脱髄や軸索障害の有無や程度を見るために用いられます。感覚神経の伝導検査も同様に行われますが、運動神経と異なり神経の活動電位を直接記録したものになります。神経伝導検査で注意しなければならないポイントはいくつかあります。伝導速度は温度が低下するほど遅くなり、振幅にも影響を与えます。室温は25~28℃、検査時の体温は上肢32℃、下肢30℃以上に保つことが望ましく、体温が低い場合はお湯やホットパックなどで温めます。記録電極は、導出筋を屈曲させ、筋腹の位置に貼るようにします。アーチファクト混入の影響を最小限にするために、導出部位やアース貼付部位はアルコール綿や研磨剤でしっかり拭くことが大事です。さらにアースは導出電極と刺激位置との間に貼るようにします。特に注意が必要となるのは刺激の位置や強度です。解剖学的な神経走行を正しく理解していること、刺激強度が強すぎると近くを走行している他の神経まで波及し異なった波形が導出されてしまうこと、脱髄障害が強い場合などは刺激閾値が上がっているために刺激強度がさらに必要となってくることなど、理解していないと結果に大きく影響してしまう可能性があります。神経伝導検査の重要なポイントについて初学者にも分かりやすく説明していた講義でした。さらにMartin Gruber吻合時の検査やインチング法、2L-INT法、前腕皮神経の検査など神経伝導検査の応用についても詳しく紹介されていました。

【開催日】令和1年7月25日(木)19:00~20:30

【場所】遠山病院 4 階 講堂

【参加人数】20名

【 内 容 】

「脳波検査の基礎知識」

三重大学医学部附属病院   渡邊 孝康 技師

 

波形の成り立ち、年齢的変化、導出法や賦活法などについての脳波検査の基礎的な講義でした。脳波は、大脳皮質で発生する電位変化を捉えたもので、リズム形成のペースメーカは視床の膜電位に依存し、それは脳幹網様体での意識レベルに依存しています。つまり、脳波検査は、大脳皮質だけでなく、視床や脳幹などの大脳深部を含めた機能評価となってきます。てんかんだけを見るものでなく、意識障害レベルや脳炎・脳症、発達障害など様々な目的で実施される検査です。

脳波波形を見る上で理解しておかなければならない重要なことは年齢に応じて波形が変化する事です。各年齢における基礎波の周波数の変化について講義しました。成人の正常脳波の項では、覚醒時脳波の特徴と睡眠時の脳波変化について講義しました。導出法では、各導出法の特徴や長所。短所について解説しました。基準電極導出法では耳朶を基準とするため、側頭葉てんかんの様な耳朶を活性化してしまう発作波があると、全導出に影響を及ぼしてしまい、あたかも全般性に発作波が出現しているようにみられます。このような場合は、双極導出法にするなど耳朶の影響を取り除くような工夫をする必要があります。

賦活法では、光刺激や過呼吸賦活、睡眠賦活法について講義しました。賦活法の一番の目的はてんかん性の異常波を誘発させる事です。光過敏性てんかんで光刺激時に発作波が誘発される場合、再度その誘発された周波数での光刺激を行い、再現性を確認する必要があります。過呼吸賦活では、血中CO2分圧の低下により、脳の末梢血管を収縮させ、一過性に脳虚血状態を作り出すため、もやもや病や急性期の脳血管障害などは禁忌です。

正しい脳波判読を行うためには、アーチファクトの少ないきれいな脳波記録を行うことが基本です。検査者がアーチファクトの種類や対策について熟知しておく事も必要です。また、脳波異常を検出するためには、検査者が正常脳波について正しく理解しておくことが大切で、年齢による変化や生理的変化、異常と間違えやすい波形についても理解しておかなければなりません。最も大切な事は、被検査者が安心して検査を受けられる環境を提供することです。それによって、発作間欠期では捉え難いてんかん性異常の検出率も向上します。

【日時】令和1年6月21日 (土) 19:00~20:00
【場所】三重大学医学部探索医学研究棟3Fリフレッシュスペース
【参加人数】20名
【内容】
『肺がん治療のバイオマーカーであるPD-L1、および癌腫横断的な治療選択肢のバイオマーカーであるMSI-highに関して』
大鵬薬品工業(株) 名古屋支店 学術課 末次能子 講師

肺がんにおけるPD-L1の治療効果とMSI-highとの関連性や病理検体からのMSI解析の方法・注意点などについて詳細な解説をいただきました。

参加者からのコメント
・FNAなどの微小検体からの遺伝子解析についてもデスカッションができ有意義な勉強会でした。

報告者:病理細胞部門長 金山和樹

【日時】 令和元年6月12日(水)18:30~20:30
【場所】 三重大学医学部附属病院 12F三医会ホール
【参加者】28名
【テーマ①】血液像の見方と注意点
【講師】シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社 浅沼眞佐英講師
【テーマ②】こんなときあなたならどう報告しますか?データーから考えよう!!
【講師】市立四日市病院 服部由香技師
【内容】
 血液像の見方と注意点を、検査血液の標準化に基づき白血球 赤血球 血小板についてそれぞれ判別のポイントなどを詳しく説明していただいた。
これから血液像を学んでいく技師にもわかりやすい講義だったと思う
 検体のピットホールを含め、日当直でも遭遇するであろう症例を、データー提示し講義していただいた。また臨床へ報告、看護師への採血取り直しの指示の仕方も指導していただいた。

報告者:臨床血液部門 部門長 広瀬逸子

【日 時】7月27日(土)12:30~16:00
【場 所】三重大学地域イノベーションホール
【参加人数】28名
【内容】
① 造血器視疾患における放射線科的画像診断
鈴鹿回生病院 放射線課 藤原徹技師
放射線科の検査 レントゲンからMRI PETまで基礎的なこと、どのような原理で行うかの説明から造血器疾患での意義、また画像上どのように映るかまで詳しく説明してもらった
ほとんどの技師がはじめてこのような講義を受け熱心に質問していた

② リンパ腫細胞の見方
済生会松阪総合病院 臨床検査課 山本雄一技師
リンパ腫のWHO分類から説明してもらい主にリンパ節タッチの標本 ギムザ パパニコロウの細胞の見方、違いを説明してもらった。主となる疾患の細胞の特徴など良く分かった。

③ 可溶性インターロイキン2受容体の基礎知識~検査と活用法について~
積水メディカル株式会社 中部営業所学術・技術担当 高田真由美講師
IL2の検査内容 どのようなときに測定するのか疾患特異性や保険収載の話まで詳しく説明してもらった。

④ リンパ腫の病理診断
三重大学医学部附属病院 病理部 今井裕先生
病理医の立場からリンパ腫 特にリンパ節の診断の仕方、FCMや免疫染色の見方まで詳しく説明してもらった。個々の疾患をあげてそれぞれマーカーと組織標本を提示し診断までの経緯を講義してもらった。

血液疾患に関しては血液部門と病理部門とお互い情報交換することで診断の材料がそろう
今後は血液 病理の技師がそれぞれ情報交換できればと思う。

報告者:臨床血液部門 部門長 広瀬逸子