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令和元年度 第4回 神経生理分野勉強会報告

令和元年度 第4回 神経生理分野勉強会報告

【 日時 】2019年10月18日(金)19:00~21:00

【 場所 】松阪市民病院 2F講義室

【参加人数】9名

【 内容 】①『なんだこりゃこりゃ! 脳波検査のアーチファクト対策』

講師:松阪市民病院  中島 佳那子 技師

今回の勉強会は、脳波検査時に混入するアーチファクトについての講義でした。アーチファクトは被検査者に起因するものと被検査者以外に起因するものと大きく2つに分けられ、被検査者に起因するものには発汗、心電図、脈波、筋電図、眼球運動などがあります。被検査者以外に起因するものには電極(分極電圧、装着不良、リード線あしらい)、交流障害、点滴などがあげられます。心電図の混入は棘波と見誤ってしまうため注意が必要です。被験者が太っていて首が太かったり、心肥大があったりする場合などは全般性に混入する事が多いです。対策として接触抵抗をしっかり下げること。平均基準電極誘導で記録する。頭位を右に傾けるなどがあります。脈波のアーチファクトは局在性の徐波の様に出現しますが心電図と一致しているため、心電図の同時記録は重要となります。脈波は電極装着部に動脈が走行しているために混入するので、電極位置を少しずらすと消失します。眼球アーチファクトは、眼球前面が陽極、後面が陰極に帯電しており、閉眼時に眼球が上転し、開眼時に戻るため脳波上では前頭極部優位に混入してきます。商用交流は、東日本は50Hz、西日本は60Hzです。交流の発生源として電灯線や医療機器の電源部などがあります。対策として最初に行うべきことは皮膚接触抵抗を小さくし、電極間の抵抗値の差を小さくする。電極リード線を束ねてまとめる。周辺機器がある場合は、コンセントから電源プラグを抜くか患者から遠ざけるなどの工夫が必要です。それでも十分に除去できない場合は、ACフィルタ-を用います。脳波記録時に混入するアーチファクトを十分に理解し、きれいな記録を得ることが基本となります。

 

②症例検討会

二相性脳症(Acute encephalopathy with biphasic seizures and late reduced diffusion (AESD))

伊勢赤十字病院 岡本 恵助 技師

AESDの臨床像は①発熱24時間以内にけいれん(多くはけいれん重積)で発症。② 意識障害はいったん改善傾向。③ 4-6病日にけいれん(多くは部分発作の群発)の再発、意識障害の増悪。④ 原因病原体としてインフルエンザウイルス、HHV-6,7 の頻度が高い。⑤ 軽度精神発達遅滞(発語の低下、自発性の低下)から重度の精神運動障害まで予後は様々です。今回提示された症例も痙攣で発症し、一度発作の軽減を認めるも再燃し、脳萎縮と重度の運動機能障害を認め、脳波上も並行する経過を辿っていました。

 

 

告者:臨床生理部門副部門長(神経生理分野)

渡邊 孝康