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【 日 時 】 令和元年8月09日(金) 18:30~20:30

【 場 所 】 三重大学医学部付属病院 病院棟12F 三医会ホール

【 参加者 】 12名

【 講 師 】 伊勢赤十字病院   中村小織 技師

桑名総合医療センター 矢橋知子 技師

鈴鹿回生病院    広瀬逸子 技師

【内 容 】

ATL LGL サイトメガロ感染の3症例を症例検討した。

検査データや血液像、マーカーなどから推測し追加検査を提案、診断に至るまでの

過程を解説していただいた。臨床検査技師は検査データや形態を最初に見ることになるため、必要に応じて臨床にコメントできるようになると良いと思われた。

報告者:臨床血液部門 部門長 広瀬逸子

 

【開催日】令和1年8月22日(木)19:00~20:30

【会 場】遠山病院 4階 講堂

【参加者】16 名

【 内 容 】上肢NCS(基礎から応用まで)

三重県立総合医療センター  伊藤 美紀 技師

今回の勉強会は上肢末梢神経の解剖学的な構造から実際の伝導検査の手技や応用など、幅広く充実した内容の講義となりました。人の神経は大脳や脊髄などの中枢神経と脳神経(12対)や脊髄神経(31対)の末梢神経とに大別されます。伝導検査で主に用いられる上肢の末梢神経は、正中神経、尺骨神経、橈骨神経です。これらの末梢神経には運動神経と感覚神経があり、検査する神経の種類によって測定原理や手技も異なってきます。運動神経の検査は、電気刺激により導出筋で誘発された複合筋活動電位(CMAP)を記録し、波形の振幅や形、伝導速度を計測して脱髄や軸索障害の有無や程度を見るために用いられます。感覚神経の伝導検査も同様に行われますが、運動神経と異なり神経の活動電位を直接記録したものになります。神経伝導検査で注意しなければならないポイントはいくつかあります。伝導速度は温度が低下するほど遅くなり、振幅にも影響を与えます。室温は25~28℃、検査時の体温は上肢32℃、下肢30℃以上に保つことが望ましく、体温が低い場合はお湯やホットパックなどで温めます。記録電極は、導出筋を屈曲させ、筋腹の位置に貼るようにします。アーチファクト混入の影響を最小限にするために、導出部位やアース貼付部位はアルコール綿や研磨剤でしっかり拭くことが大事です。さらにアースは導出電極と刺激位置との間に貼るようにします。特に注意が必要となるのは刺激の位置や強度です。解剖学的な神経走行を正しく理解していること、刺激強度が強すぎると近くを走行している他の神経まで波及し異なった波形が導出されてしまうこと、脱髄障害が強い場合などは刺激閾値が上がっているために刺激強度がさらに必要となってくることなど、理解していないと結果に大きく影響してしまう可能性があります。神経伝導検査の重要なポイントについて初学者にも分かりやすく説明していた講義でした。さらにMartin Gruber吻合時の検査やインチング法、2L-INT法、前腕皮神経の検査など神経伝導検査の応用についても詳しく紹介されていました。

【開催日】令和1年7月25日(木)19:00~20:30

【場所】遠山病院 4 階 講堂

【参加人数】20名

【 内 容 】

「脳波検査の基礎知識」

三重大学医学部附属病院   渡邊 孝康 技師

 

波形の成り立ち、年齢的変化、導出法や賦活法などについての脳波検査の基礎的な講義でした。脳波は、大脳皮質で発生する電位変化を捉えたもので、リズム形成のペースメーカは視床の膜電位に依存し、それは脳幹網様体での意識レベルに依存しています。つまり、脳波検査は、大脳皮質だけでなく、視床や脳幹などの大脳深部を含めた機能評価となってきます。てんかんだけを見るものでなく、意識障害レベルや脳炎・脳症、発達障害など様々な目的で実施される検査です。

脳波波形を見る上で理解しておかなければならない重要なことは年齢に応じて波形が変化する事です。各年齢における基礎波の周波数の変化について講義しました。成人の正常脳波の項では、覚醒時脳波の特徴と睡眠時の脳波変化について講義しました。導出法では、各導出法の特徴や長所。短所について解説しました。基準電極導出法では耳朶を基準とするため、側頭葉てんかんの様な耳朶を活性化してしまう発作波があると、全導出に影響を及ぼしてしまい、あたかも全般性に発作波が出現しているようにみられます。このような場合は、双極導出法にするなど耳朶の影響を取り除くような工夫をする必要があります。

賦活法では、光刺激や過呼吸賦活、睡眠賦活法について講義しました。賦活法の一番の目的はてんかん性の異常波を誘発させる事です。光過敏性てんかんで光刺激時に発作波が誘発される場合、再度その誘発された周波数での光刺激を行い、再現性を確認する必要があります。過呼吸賦活では、血中CO2分圧の低下により、脳の末梢血管を収縮させ、一過性に脳虚血状態を作り出すため、もやもや病や急性期の脳血管障害などは禁忌です。

正しい脳波判読を行うためには、アーチファクトの少ないきれいな脳波記録を行うことが基本です。検査者がアーチファクトの種類や対策について熟知しておく事も必要です。また、脳波異常を検出するためには、検査者が正常脳波について正しく理解しておくことが大切で、年齢による変化や生理的変化、異常と間違えやすい波形についても理解しておかなければなりません。最も大切な事は、被検査者が安心して検査を受けられる環境を提供することです。それによって、発作間欠期では捉え難いてんかん性異常の検出率も向上します。